有機分子記述法開発 01
昨今のAIの進歩は目を見張るものがあります。これを編集している間は、ちょうどGPT4.6の登場で、世間は 大盛り上がりといった状態です。
さて、私も今を生きる学生の身、レポート、メール、相談など、AIを使わない日はないといってもおかしくありません。
そんな大変賢いAIですが、こと有機化学については、どうも相性が悪いのです。
有機化学は、まさに構造式と電子対の世界。命名法に従った名前があれば、議論ができないこともないでしょうが、複雑な分子でやるのは嫌ですよね。
そんなわけで、皆、炭素骨格に腕を生やして、構造式を描いて議論するわけです。
そこで、優秀なGemini君に、次のように命令しました
「クロロエタンに非プロトン性極性溶媒下臭化ナトリウムを作用させたときの反応を反応機構とともに構造式を用いて答えなさい。必要ならば図を用いてよい。なお、反応機構では電子移動を表す矢印を使うこと」
典型的なSN2反応の問題ですから、ブロモエタンがちゃんとできていればいいわけです。
それで、返ってきた図がこれです。

fig.1 Gemini 3.6 Flashが生成したSN2反応の例
言わんとしてることは伝わるんですが、いろいろと怪しい。特に遷移状態は結合が分かりにくい。
こんな程度の機能しかないと、立体が関わる議論なんかはかなり苦しいでしょう。
もう少し粘らせてみると

fig.2 Gemini 3.6 Flashが再生成したSN2反応の例
0点です。つっこみどころが多すぎます。背面から攻撃できてませんし、遷移状態もおかしいです。こいつに有機化学1の単位はあげられません。
ChatGPTを使ってもこんなもんです。

fig.3 ChatGPTが生成したSN2反応の例
こんな細かく指示しなくても、まともな学生なら、こんな図を描くはずです。
fig.3 一般的なSN2反応の表記例
モデルが賢くないとか、金を払ったら違うのではないかとか、そういうことはあるのかもしれません。あるいは、聞き方が悪いのかもしれません。
とはいえど、こんなにひどい図になる理由は割と明白で、彼らは賢くないわけではなく、きれいに書くための道具がないというのが正しいでしょう。 両者ともに、付随する記述は正確、少なくとも学部では満点となるであろう解答を生成できていましたから。
私はここに着目し、LLMが、こういった図を自力で作って画面上に映し出すことができるような方法が欲しいと思いました。
これが実現できれば、チャットによって化合物を確認しながら、反応を議論することができるようになるはずです。
そのための計画、実装の試行錯誤を次回からの記事にしていこうと思います。
次回:有機分子記述法開発 02